岡本氏から2月に宴会を兼ねて一度行かないかとのメールが入った。断る理由など無い。21、22に今津の家に集合することになった。勿論、水谷さんも一緒だ。
2月21日
10時半、今津の家を出発、まだ雪の残るマキノ高原に向かうことにした。今回、僕は釣りではなく写真のみと決めていたのでカメラだけだ。白谷の村落で知内川を離れ、支流の八王子川に入る。山は身近に迫り、道路の横には除雪の残骸がまだ解けずに残っている。入る谷を探しながら上流に車を走らせる。僕が奨めた谷は、あっさりと却下され以前水谷、岡本両氏が入った谷に入る事になった。理由は簡単、去年岡本氏が25cmを釣り落とした岩魚を狙うためだ。
二人は釣り支度を整えて上流に消えていった。残された僕は、カメラを片手に花をを求めて雪解でざわめく谷に降りることにした。そこには、無数のネコヤナギが白銀色に光っているのであった。視線を斜面に向けると、深い緑の葉の中に色も鮮やかな藪椿が赤い花を付けている。
そうこうする中に、二人が戻ってきた。全く当たりがないとこと。水谷氏曰く「岩魚はまだ眠ったままだ」。釣りは諦め名物蕎麦屋へ向かうことにした。途中「お奨め」の谷をちらっと見ると良さそうである。まだ誰も入った形跡もなく、水量も充分である。
蕎麦屋で昼食をすました後、今夜の宴会の買い出しに敦賀の魚市場へ向かう。そこで、蟹3匹、イカ2はい、ホタテ貝5個、甘エビ一箱を1万円で買い求めた。今津には3時半頃に到着、まだ宴会には時間があるので、例の却下された谷に入ることにした。水谷さんの道具一式を借り1時間足らずの釣りである。
4時を少し過ぎたころ入渓。半年ぶりの谷の感触はやはり訳もなく心地良い。谷の音、風、光、−−−何もかもが新鮮だ。借りた仕掛けの「おもり」は少し重すぎるが面倒なのでそのままで使う事にする。重い分、少しテンションをかけながら仕掛けを流せば何とかなるであろう。堰堤を何度も越え上流に向かう。釣り始めて10分ほどで10cm程の岩魚がかかる。もちろん、放流だ。ついで、10cmの岩魚が追ってくる。飲見込まれては大変なので仕掛けを早めに上げる。時計を見るともう5時だ、次のポイントを最後と決める。そこは、低くて幅の広い堰堤の落ち込みであった。ひと目ここしかないと思われる流れに仕掛けを流すと、2度目に目印が止まった。一瞬間をおいて合わせると、重い当たりが手元に伝わってくる。釣り上げると、もうさびの取れた22cm美しい岩魚であった。
今年始めての嬉しい一尾に感謝をし、夕暮れの迫る谷を後にする。見上げると山々は、僅かに茜色に染まり始めていた。
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