松倉谷(09.07)

9月7日
 8時「つるの」を後にする。今日入る渓は明谷川の支流「松倉谷」である。15年ほど前に出版された案内書によると岩魚が群れ泳いでいると記されている。もう、15年も前の事なので話し半分としても、一度は訪ねてみたかった渓である。

 白峰の村落を抜けると直ぐに、右手より明谷川が分かれる。谷には、整備された林道が続いている。10分ほどで小又谷川を左手に分ける。分岐から走ること約30分右手前方に尾根の深い切れ込みが目に飛び込んでくる。目指す松倉谷だ。

 松倉谷は、深々と山塊に切れ込み斜面は怒濤のような緑に被われている。思っていた通りの渓だ。嬉しさが込み上げてくる。

 今日は、午後から天気が崩れるのて釣りも午前中まで、魚も全て放流と決め、下降を開始。意外にも下降路は簡単に見つかり数分で明谷川降り立つことが出来る。

 先ずは、本流と松倉谷出合の落ち込みに第一投。意外にも、ちびヤマメが仕掛けを追ってくるではないか。今年放流されたに違いない。よく見れば、本流の瀬にはちびヤマメが無数に走っている。だが、この1mほどの落ち込みから上は、思っていたとおり岩魚の渓であった。渓は、好ポイントの連続で大物の気配が漂うが、全て20cm以下である。ただ、魚影は濃く次々と二人の竿を揺らしてくれる。渓の斜面の至る所で、薄紫のくっると花弁を巻いた「クサボタン」が咲き誇っている。

 そして2時間ほどで、とうとう第一堰堤に達する。高さ10m以上はある。例の案内書に岩魚が群泳していると記されている所だ。ここは、時間を掛けて探りたい場所だ。第一のポイントは右手の堰堤からの飛沫で水面が絶えず叩かれている場所だ。ここは、山本氏に譲ろう。僕は左手より堰堤に近づき、岩と岩との隙間を狙った。仕掛けを隙間に落とすと岩魚がすーっと岩陰から現れ、目印は深く引き込まれていった。竿先を少し上げると、重くて鈍い当たりがある。引き上げてみると23cmの岩魚であった。山本氏は、例の右手のポイントでシンカーフリーで23cm級を2尾釣り上げている。そうこうする中に、台風18号の影響であろうか時折風を伴った雨がザーと山を鳴らしながら通り過ぎて行く。時間が経つにつれて、その間隔が次第に縮まっていくのであった。

 もう限界と思われたので、竿を仕舞いとりあえず堰堤上部を確認後引き上げる事にする。まだまだ渓は続くが、来年の再行を誓い、11時45分渓に別れを告げることにしたのであった。

 今回、携帯用のカメラを忘れたので現場での写真はありません。
緑深き松倉谷