6月21日 今日は、かねてから計画していた尺イワナをそれも1匹などではなく魚籠一杯になるほど釣ろうと云う丸秘作戦の開始の日なのだ。何時ものように、山本氏と8時に京都を出発。途中、釣具屋で餌を購入し敦賀へと向かう。敦賀で、時間は少し早いが昼食をとることにした。久しぶりに関東風のカツ丼を食べたくなったのでJR駅近くのヨーロッパ軒に立ち寄りカツ丼セットを注文し、始めて今回の計画を地図を拡げて氏にに説明したのである。しばらく地図を眺めた後、氏も素晴らしい計画だと賛成してくれたのである。決行日は明日の早朝である。計画の概要は、林道も付けられない程谷の中間部が悪く、徒歩では下流からは遠くて日帰りでは入れない谷の源頭に、反対側の林道が奥まで入っている谷から尾根を越えて入ろうと云うのである。そこは、訪れる人も希な深い森に覆われた清流があり、人を知らない大イワナたちが悠然と流れ下る瀬に身を任せているに違いないのだ。だだ、林道が通行可能かどうかが問題なのだ。もし林道が使えなければ、この計画はそれこそ「計画倒れ」になってしまうからだ。 先ず、今日の釣り場へ入る前に明日入る林道へと向かう。勿論林道へ入れるかを確認するためである。だが心配は的中し、林道の入り口には鎖が張られ、頑丈な鍵がかけらていたのである。その横には、山菜が乱獲されそれを防止するために通行を制限しているとの事が書かれた看板が立っている。残念だ。今回の丸秘計画は断念しなければならない。ともかくその場を離れ、今日の目的地に向かうことにした。 ![]() ![]() 連爆地帯を過ぎると一安心、少しばかりゆったりした休憩をとることにした。見上げる空は梅雨時にしては珍しく蒼く澄み、木々達は緑を深め随分と力強くなっている。夏の予感が早くもみなぎっている。さあ急ごう、僕たちは立ち上がった。 今日も、大杉谷で野営することにした。時計は7時半、僕たちは急がなくてはならない。もう闇がそこまで迫っているのだ。先ず、今夜一晩の焚き火困らない量の薪を集めなければならない。車の荷台を空にして、近くの杉林に枝伐材や間伐材を拾いに行く。リアードアーを開けたまま荷台一杯にして戻る。僕は焚き火、山本氏は夕食の準備にかかる。やがて、焚き火は赤々を夜空を焦がし、夕食用の炭火も赤く熱線を放ち始める。今晩も白ワイン2本とビールだ。前回はオープナーを忘れ苦労したが、今回は山本氏が立派なのを用意してくれる。なかなか良いものだ。何処で手に入れたのか等と訪ねると、氏は気前良く僕に進呈してくれる。ありがたく頂くことにした。今夜も夜遅くまで話し込んだ。イワナのこと、山菜のこと、ワインのこと、花のこと、・・・・話はどこまでも続く。そして、今日も終わりの近づいた頃シュラフに潜り込んだのであった。 6月21日 朝5時前に目が覚める。山本氏は良い気持ち寝入っている。そっとシュラフから抜け出るともう朝は明けていた。お茶を沸かし、パンかじって朝食とする。昨夜の後始末をしていると、地下足袋をはいて、大きなかごを背負った70過ぎを思われる老人がこちらにやってきた。何を採りに行かれるのですかと問えば、蕗とこと。色々と話して中に、ここが老人の地所だとのことも教えられた。最後に老人は、にこやかに微笑みながら「ごゆっくりと」と挨拶をされ山に向かって行かれた。背筋をピーンと張ったその後ろ姿は、ほれぼれとする位見事であった。 ![]() ![]() ![]() さらに、堰堤を越え釣り上がるも反応はほとんど無い。何時しか興味はイワナから花々に移って行く。山の斜面には、大ぶりの葉に白い花を付けたヤグルマソウが群生している。その横には、オオナルコユリが多くの上品なクリーム色の花を茎いっぱいに垂れ下げている。釣りはもう諦め、河原でゆっくりとパンと紅茶の昼食を採り大杉谷をあとにしたのであった。途中杉林にはギンリョウソウが落ち葉の中から頭をもたげている。久しぶりに見る浅い銀色の花だ。 ![]() だが、今日はもう一つの計画が残っているのだ。白峰を離れ、谷峠のトンネルを越えてすぐに旧国道に入る。何度もハンドルを右に左へと切りながら下っていく。谷の村落を過ぎると、今日最後目的地である旧国道が滝波川をまたぐ地点はすぐだ。ルアーマンの山本氏は、ここで発電所からの放水場で大物を狙うのである。去年この場所で尺級がルアーを追ってきたので、再挑戦なのだ。しかし、1時間ほどルアーを投げたが何事も起きなかった。これで、今日は全て終わりである。後は、鮎街道を辿り福井北より北陸道に乗り帰京するだけである。 |